準決勝 上尾VS浦和学院

日付:2025年10月4日(土)
試合会場:県営大宮公園球場
秋晴れの空の下、伝統校・浦和学院と注目の公立校・上尾が激突した準決勝。試合は互いのエースが好投を見せ、息詰まる投手戦となった。上尾が七回に勝ち越すも、その裏すぐさま浦和学院が同点に追いつき、八回に決勝点を奪う。最後まで集中を切らさなかった浦和学院が、4―3で接戦を制した。
◾️投手まとめ◾️
【上尾】
辻岡 瑛人:先発・9回、131球、4失点。
テンポよく投げ込み、浦和学院打線を7回まで2点に抑える粘投。終盤は疲れが見えたが、エースとして堂々たるマウンドさばきでチームを引っ張った。
【浦和学院】
伊藤 漣:先発・6回1/3、86球、3失点。
制球力とテンポが光った。被安打6ながらも要所でまとめた。七回途中で降板も、試合を作る役割を果たした。
日高 創太:0回2/3 、5球、1失点。
7回の緊迫した場面で登板。最低限の仕事を果たし、打たせて取る投球を見せた。
城間 琥珀:0回2/3 、17球、無失点
2安打を浴びるも無失点で切り抜けた。
西村 虎龍:1回 11球、無失点。
最終回をわずか9球で締め、勝利を手繰り寄せた。打撃でも中三塁打と決勝打でチームを牽引した。
◾️主な活躍選手◾️
【上尾】
菊池 龍希(4番・一塁手):右中間への適時二塁打で先制点。中軸として存在感を放った。
関根 賢成(2番・遊撃手):七回に勝ち越し適時打を放ち、攻撃の流れを作った。
辻岡 瑛人(3番・投手):4打数2安打。マウンドだけでなく打撃でもチームに貢献した。
【浦和学院】
西村 虎龍(5番・右翼→投手):中三塁打と勝ち越し適時二塁打を記録。投打でチームを牽引した。
玉榮 久豊(6番・二塁手):四回にレフトへ犠牲フライ、八回にはセンターへ勝ち越し適時打と勝負強さを発揮した。
法量 章太郎(3番・三塁手):3安打の猛打賞。8回の先頭打者でのライトへのヒットをきっかけに逆転し勝利の立役者となった。
試合展開
序盤は両エースの投げ合いで静かな立ち上がり。上尾の辻岡選手、浦和学院の伊藤選手ともにテンポの良い投球で相手打線を封じ込めた。
試合が動いたのは四回表。上尾は3番辻岡選手の左前打をきっかけに暴投の間に無死二塁とし、4番菊池選手が右中間へ適時二塁打を放ち1点を先制。
しかしその裏、浦和学院も5番西村選手が中越え三塁打で出塁し、6番玉榮選手の左犠飛ですぐさま同点に追いつく。

五、六回は再び両投手の好投が光った。上尾・辻岡選手は得点圏に走者を背負いながらも粘り強く投げ、浦和学院・伊藤選手は併殺を奪うなどテンポ良く投げ緊張感のある攻防が続いた。
試合の均衡を破ったのは七回表。上尾は一死から関谷選手のショートへの内野安打をきっかけに満塁の好機を作り、9番森田選手が右前適時打で2−1と勝ち越し。2アウトから関根選手が中前に運び、3−1とリードを広げた。
しかしその裏、浦和学院もすぐに反撃。8番大宮選手の三塁打から伊藤選手の犠牲フライで1点差に迫り流れを渡さない。(3−2)
八回裏、勝負を決めたのは浦和学院の中軸。3番法量選手のライトへのヒットでチャンスをつくると、5番西村選手がライトへ同点となるタイムリーツーベース。(3−3)
続く玉榮選手が中前打を放ち、この回2連続タイムリーで4-3と逆転した。
最終回、なんとか反撃したい上尾打線に対し、西村選手がマウンドに上がり3人で締めて試合終了。浦和学院が底力を見せ、粘る上尾を振り切った。
⚾️試合のポイント⚾️
⚾️ 両エースの安定感。上尾・辻岡選手は131球の力投、浦和学院・伊藤選手は6回1/3で3失点と互いに試合を作った。
⚾️ 終盤の攻防が明暗を分けた。上尾は七回に勝ち越すも、リズムに乗り切れなかった。
⚾️ 両チーム試合内容では互角。県上位クラスの戦いを見せ、高校野球ファンを楽しませた。
攻守のバランス◯上尾の戦いぶり
新チームとして初の大舞台。上尾は序盤から堅実な試合運びを見せ、強豪・浦和学院を苦しめた。エース辻岡選手の粘投と、菊池選手・関根選手ら上位打線の集中力ある打撃で、リードを奪う場面もあった。特に七回の勝ち越し劇は、全員野球の象徴だった。
一方で、終盤にわずかな守備の乱れや走塁の判断ミスが出たのは攻めた結果に見えた。
攻守のバランスが取れたチームとして今後の成長が期待される。
浦和学院の底力
序盤は相手投手の緩急に苦しんだが、四回にすぐ同点に追いつき流れを渡さなかった。
終盤は中軸の勝負強さが際立ち、チャンスで確実に得点を重ねた。特に5番西村選手は投打でチームを支え、「チームの軸」としての働きを見せた。
継投も冴え、伊藤 – 日高 – 城間 – 西村とつないだリレーで失点を最小限に抑えた。試合巧者ぶりが光る内容で、決勝に向けて大きな弾みをつけた。
【まとめ】互いに実りある一戦に
スコア以上に見応えのある一戦だった。上尾は強豪相手に一歩も引かず、技術と気迫で互角の勝負を演じた。浦和学院は「勝ち切る力」を発揮し、終盤の集中力で逆転勝ちを収めた。
試合後、両校の選手たちは互いに健闘を称え合い、秋の大会にふさわしい爽やかな雰囲気で締めくくられた。上尾にとっては課題と手応えの両方を得た貴重な試合。浦和学院は名門らしく、ここからさらなる完成度を高めていく。