
叡明のショート・長島選手は、この夏、幼い頃から憧れ続けていた甲子園の土を踏んだ。スタンドを揺らす大声援は一生忘れられない記憶となった一方で、悔しさも同時に味わった。新チームの中心として活躍が期待される彼は甲子園での経験や新チームでの自分のやるべきことについて語ってくれた。
甲子園で味わった悔しさと学び
長島選手は、180センチの長身にしなやかな動きを備えた遊撃手だ。小学校3年から野球を始め、幸手市吉田ジャガーズ、幸手ボーイズを経て叡明高等学校へ進学。昨夏、チームの一員として夢舞台に立った。
「昔からずっと目指していた場所に立てたのは嬉しかった。でも悔いの残るプレーもあった」
甲子園ではタイブレークの延長11回裏、ダブルプレーを取り切る場面でワンテンポ遅れ、試合を締めることができなかった。さらに12回表には津田学園の好投手の前に、バントでチャンスを広げることが出来なかった。この悔しい経験は、自身の胸に深く刻まれている。
「メンバーに選ばれていたのに、あの場面で結果を出せなかったのは申し訳なかった。技術的にまだまだ足りなかったと痛感した」
それでも彼の耳には、スタンドを埋め尽くした仲間や地元の声援が確かに届いていた。
「ベンチでも守備位置にいても、打席に立っていても、はっきりと聞こえる大声援だった。あの応援は一生忘れない」
悔しさと感謝、その両方が甲子園での大きな財産となった。

全国の経験をチームへ還元する
甲子園という特別な舞台で感じたのは、自身の力不足だけではない。チーム全体を引っ張る力の大切さだった。
「試合の中で目立ったのはプレーの技術不足だったけど、それ以上に、自分がもっと引っ張る力を持たなければいけないと感じた。甲子園に行けたのは冬の練習を全員で頑張って乗り越えたから。だからこそ、そこで得た経験を新チームに還元していきたい」
新チームには昨年から試合に出ていた選手も残っており、その中で長島は中心的な存在になることが求められる。彼は主砲タイプではなく、チームの攻撃をつなぐ役割を意識している。
「自分は長打で引っ張るタイプではない。叡明の野球らしく、つなぎの役割を徹底していきたい」
バントや進塁打で確実にチャンスを広げ、次へつなぐ。派手さはなくとも、勝利に直結する重要な役割を果たす。チームの中で何が出来るか考え、自身の長所を生かしチームに貢献する。そんなプレースタイルを追い求めている。
「偉大な先輩を越えるショートに」長島へ託された思い
甲子園で悔し涙を流した長島選手に、先輩たちから贈られた言葉がある。
「田口を越えるショートになってほしい」
それは、走攻守投でチームの中心選手としてけん引してきた田口選手が担ったポジションを継ぎ、さらに成長してほしいという期待の表れだった。
「自分のミスで先輩たちの夏が終わってしまった。と落ち込んでいたときに、そう声を掛けてもらった。本当にありがたかったし、また甲子園に戻りたいという気持ちが一層強くなった」
「技術もメンタルも、まだまだ伸ばしていかないといけない。でもあの悔しさを忘れずに、チームを勝たせられるショートになりたい」
悔しさを経験し、先輩たちの思いを背負い、新チームでも甲子園に必ず戻ることを誓った。

【まとめ】先輩の思いを胸に、再び夢舞台へ
長島選手は、悔しさも、声援の力も、先輩から託された期待もすべて背負って再び甲子園に戻ることを目標に歩み出した。
ショートというポジションからチームを支え、つなぎの野球で勝利を呼び込むその姿は、まさに「全員野球」を掲げる叡明にとって必要不可欠な選手である。
甲子園の経験を糧として、最後の夏へ向けてひたむきに練習に打ち込んでいく。