「結果で恩返しを」市立川越・玉野凌也、ラストイヤー。激戦必至の夏にかける想い

埼玉県内屈指の文武両道校・市立川越高校で、キャッチャーとしてチームを支えるのが3年生の玉野凌也だ。
6番打者として春季大会のベスト4進出に貢献し、時には2番打者としても出塁と粘りで役割を果たす。正捕手としてリード面に責任を持ちつつ、打撃でも着実に結果を残す。その安定感の背景には、過去の悔しさと向き合い、冬場に徹底して磨き上げた技術とメンタルがあった。

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「地元に応援されるチーム」への憧れが進学の決め手に

玉野選手の出身は栃木県。中学では小山市立美田中学校野球部に所属し、小山スタードリームズに選出された経歴がある。その後、埼玉に移り住むこととなったが、新たな環境でも野球を続ける道を選んだ。

「情報収集を行なっていく中で地元で公立でも強い高校として市立川越の存在を知りました。地域の人から応援されていて、野球をする上で非常に良い環境だと思い入学を決めました」と語った。


文武両道を支えるチームの仕組み

市立川越は、学力の高さにも定評のある公立進学校。検定や試験に向けた勉強の時間が多く必要になるが、チームとしても学業への理解が深い。

「テストや検定があるときは、1週間前から部員全員で勉強会を開く。先生方も学習時間を確保してくれていて、文武両道が実現できている」

高校球児としての責任感と、学生としての自覚を両立させてきた3年間。努力を続けてきた日々が、春の飛躍につながった。

秋の悔しさを糧に、春ベスト4への道のり

玉野選手にとって、特に印象に残っているのは、昨年秋の西部地区代表決定戦だ。星野高校に敗れ、あと一歩で県大会出場を逃した試合。その悔しさが、チームの結束力を生んだ。

「このままじゃダメだという空気がチーム全体に広がった。そこからチームが引き締まって、冬は走り込みや打ち込み、投手力の強化にも力を入れた」

キャッチャーという立場から見える投手の状態にも敏感に反応し、ブルペンでの質を高めることにも尽力した。その成果は、春季大会の結果に表れた。市立浦和戦では4打数2安打、早大本庄戦でも同様に4打数2安打の成績を残し、叡明戦では4打数3安打とバットでも確かな存在感を示した。

強みは打撃。夏への成長を加速させた春季大会。

玉野選手の打撃の特徴は、ミート力と打率の高さにある。好投手の球にも食らいつき対応力の高いバッティングで出塁を重ねる。

「パワーは劣るけど、ミート率には自信がある。打率にこだわって夏もチームに貢献していきたい

一方で課題として挙げたのが守備、特に配球面での判断力だ。春季大会の叡明戦では、1球のボールが勝敗に直結したプレーもあり、キャッチャーとしての責任を痛感した。

勝負所での配球、もっとこだわっていかなければいけない。大事な場面で自信を持ってサインを出せるようにしたい」

自身が落ち着いていればこそ、周囲にも安心感を与えることができる。点を取った直後の守りでは、特に気持ちの切り替えと冷静なプレーを心がけている。

春季大会で最も印象に残っている試合として、玉野選手は早大本庄戦を挙げた。

「中盤までは接戦。どちらが先に1点を取るか、という緊張感があった。終盤に勝負をかけることができたのはチームとしての成長だったと思う」

相手の1番・2番打者が非常に粘り強く、アウトを取るのに苦労したという。そんな場面でも冷静さを保ち、ゲームを組み立てる難しさと楽しさを経験した。

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夏の目標は、甲子園出場。そして春日部共栄への意識

市立川越は今夏、Bシードとして埼玉大会を迎える。玉野選手が強く意識する相手が、同じブロックの強豪・春日部共栄だ。

「非常に力のある高校。勝つためには打撃面でも、守備でも、どれだけ自信を持って挑めるかが大事になる」

秋からの課題を整理し、冬場に徹底して取り組んできたチーム力を武器に、甲子園出場を本気で狙っている。

進路は「進学」野球を続ける意志を胸に

高校卒業後の進路について、玉野選手は「進学して野球を続けたい」と話し、野球と真摯に向き合い続ける姿勢には、強い情熱が感じられる。

オフの日にはサッカーやバスケなどを楽しむ球技クラブにも参加し、野球以外のスポーツにも触れてリフレッシュしている。そうした気分転換が、日々の練習への集中力にもつながっている。

「毎日のお弁当に感謝」結果で応える覚悟

取材の最後に、玉野選手は幼い頃から支え続けて来てくれた母への感謝を口にした。

「毎日、お母さんが弁当を作ってくれている。その支えがあるからこそ、自分は野球ができている。結果で恩返ししたい」

高校球児としての3年間の集大成が、間もなく幕を開ける。キャッチャーとしてチームを束ね、バッターとして打線の流れを作る玉野凌也。落ち着きながら心は熱く、甲子園への道を見据え扇の要として市立川越ナインを甲子園へリードしていく。

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【取材後記】「感謝を力に変えて」公立校の期待を背負う最後の夏

取材を通じて感じたのは、玉野選手の「責任感」と「感謝の気持ち」だ。キャッチャーとしてチームの要を担いながら、バッティングでも着実に結果を残す。その裏には、秋の悔しさをバネに冬場の練習に真摯に取り組んだ努力があった。配球や守備に対する課題意識を持ち、細部にまでこだわる姿勢は3年生らしい成熟を感じさせた。

強豪校がひしめき合う簡単なブロックではないが、埼玉で公立校が夏の甲子園に進んだのは1998年の80回大会の滑川(現:滑川総合)以来。市立川越高校野球部はその可能性を十分に秘めている。激戦の埼玉大会を勝ち抜いていく姿を見守っていきたい。

TOMMY
ライター
【自己紹介】
小学校4年生からリトルリーグで野球を始め、中学・高校・社会人とプレーを続けてきた。
今後も野球に関わり続けたい気持ちから、2025年4月には高校野球に特化した総合まとめサイトを立ち上げた。ライターとして球場や学校に足を運び、現場の声を取材・発信している。

【ブログで発信する内容】
このブログでは、主に関東圏内の高校野球部に関する情報を中心に発信している。

・試合の戦評や展開の紹介
・選手や監督へのインタビュー記事
・各校の野球部の方針や取り組み
・地域大会や甲子園だけでは見えない高校野球の魅力
・高校野球を通じた人間成長の姿

勝敗や成績だけでなく、高校野球が持つ教育的な価値や、人を育てる力に焦点を当てている。

【実績】
高校、社会人と野球に取り組んできた実体験や営業や経理など様々な職種での社会人経験を通じて、多角的に物事を見る視点を持っている。
現在までも幾つかの学校を訪れ、現場での取材を重ねてきた。
監督や選手への丁寧な取材をもとに、チームの背景や想いを言葉として伝える記事制作を行っている。

【発信する理由】
高校野球は、勝つことだけが目的ではなく、将来社会で活躍できる人間を育てる場だと考えている。
甲子園を目指すチームもあれば、県大会での一勝を目標に掲げるチームもある。その目標の違いこそが、それぞれの学校らしさであり、教育・高校野球としての面白さでもある。
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