【大宮北:4番キャッチャー】経験と冷静さで勝利へ導く─慶應を目指す頭脳派捕手・橋本 海里

さいたま市立大宮北高校野球部で背番号2を背負うのは、3年生捕手・橋本海里。

巧みなリードと勝負強いバッティングでチームをけん引する扇の要だ。野球にかける思い、文武両道の工夫、そして集大成となる最後の夏に懸ける覚悟を語ってくれた。

初回半額!縛りなし!成長期の沖縄産アドバイス付サプリ【日本ランチェスター】
目次

大宮北を選んだ理由〜仲間達と次のステージで〜

「中学3年の夏に、大宮北が県大会でベスト16に進んだ試合を見て心が動きました。自分が所属していた城北中の野球部から、茂木、伊藤、柏倉の3人と大宮北に進学し一緒に野球をやろうとみんなで進路を決めました。」

幼い頃から白球を追い続けてきた橋本選手が、大宮北高校を選んだのは「この仲間たちと次のステージで共に戦いたい」という明確な動機があった。そしてその決断は、3年間の高校野球生活を通じて彼らをさらに成長させた。

練習時間が少ない公立校の現実と工夫

私立よりも練習時間が圧倒的に少ない」。橋本選手は現実を直視する。しかし、ただ嘆くのではなく、限られた環境で最大限の成果を出す術を模索してきた。

「だからこそ効率的な練習を意識しています。一球一球を無駄にせず、考えて動く。量より質を追求しています。」

彼の努力は、グラウンド外にも及ぶ。完全下校が19時、自宅までは電車で1時間。「その時間をどう使うか」が、文武両道のカギだ。「帰りの電車内でも単語を覚えたり教科書を読んだり、寝る前にも勉強の時間を作っています。」慶応義塾大学進学を目指していると話す彼は、目的意識が高く野球と勉強の二刀流をこなしている。

「冷静さ」が武器の扇の要

橋本選手の最大の武器は、試合中の「冷静さ」だ。

「1年の春から試合に出させてもらっていて、経験には自信があります。チームの中でも試合経験が一番あるので、自分が動揺すると全体に影響してしまう。だからこそ、常に落ち着いたプレーを心がけています。」

リード面だけでなく、4番打者としての重責も背負う橋本選手。しかし、「最後の打者になってしまう場面が多い」「その場面であと1本粘れれば、試合をひっくり返せる力があると思う。そこが今の自分の課題ですね。」そう笑顔で話す彼だが、この言葉の裏に扇の要、打線の中心という責任感を感じた。

「”一体感”が最大の武器。」“全員で戦う”大宮北の結束力

今年の大宮北は、昨年から主力として試合に出場していた選手が残っている「経験値の高いチーム」だという。

「ベンチ入りメンバーも仲が良く、団結力があるのがこのチームの強みです。試合中の声かけや、ベンチの雰囲気は良く、全員で戦っています。」

橋本選手自身がその中心に立ち、声でチームを鼓舞し続けている。


“サヨナラ”と“コールド”の夏を越えて。最後の夏にかける特別な思い

これまでの夏を振り返ると、悔しさが先に立つ。

「1年夏は秀明英光にサヨナラ負け、2年の夏は浦和実業にコールドで敗れました。夏の大会は、本当に勝つことが難しいと実感しました。」

「春にベスト8に入ってシードを獲得できたことは、すごく大きな自信になりました。でも、それだけでは意味がない。夏に勝って初めて価値がある。とにかく、強豪私立を倒して、ベスト8に入りたい。」と話す橋本選手。

夏の大会Cシードを獲得した今年は並々ならぬ決意で臨む。

目指す舞台、慶応義塾大学

橋本選手の目標は高校野球だけにとどまらない。進路として挙げたのは、全国屈指の学力と野球部を誇る慶応義塾大学だ。

「慶応に入って、野球を続けたい。そのためにも、今できることを全力で取り組んでいます。」

電車内の勉強、限られた練習時間への集中。橋本の行動一つひとつが、目標に直結している。

支えてくれた人たちへ、恩返しの夏に

「1年春から試合に出させてもらって、たくさんの人に支えられてきました。家族、監督、指導者、先輩方……その人たちに恩返しする意味でも、必ず勝ち進みたい。」

橋本選手にとって、この夏は“高校野球最後の大会”ではない。“感謝を伝える舞台”であり、“未来へとつながる挑戦”でもある。

背番号2の冷静なマスクマンが、感情を燃やして戦う熱い夏が始まる。


【取材後記】「一球も、一秒も無駄にしない」〜その姿に心を打たれた〜

※今回の取材の中で「オリックスの頓宮選手に似てるって言われるんです!」と話していた橋本選手
※左写真は日刊スポーツより引用

橋本選手にインタビューを終えたあと、最も印象に残ったのは「限られた時間をどう使うか」という言葉だった。公立高校の練習時間の制限、それでも県上位を目指すチームの一員としてどう戦うのか。橋本選手の回答の一つひとつからは「効率」「冷静さ」「感謝」を感じた。

グラウンドではチームを支える扇の要として、電車では慶應義塾大学合格を目指す受験生として、橋本選手は常に何かに向かって全力で走っており、ひたむきで、静かな強さに満ちていた。

あと一本打てれば勝てた」という過去の悔しさを、真正面から見つめ直す姿勢も印象的だった。実績や記録よりも、自分の弱さや課題を口にできる選手は、きっと最後の夏で何かをつかみ取る力がある。そう感じさせてくれる取材だった。

そして何より、「家族や監督、先輩たちに恩返ししたい」という一言が胸に残った。高校野球が“自分のためだけの戦い”ではないことを、彼は身をもって体現している。

この夏、そこに橋本海里の冷静さと覚悟がある。強豪私立を前にしても、きっと彼は冷静に、落ち着いて一球一球をリードし立ち向かっていくだろう。

公立校から挑む知性と情熱を両立させたキャッチャー。この夏彼らの戦いぶりを、純粋に一人の高校野球ファンとして心から楽しみにしている。

シェアのご協力お願いします♪
  • URLをコピーしました!
目次