【千葉県・検見川高等学校】1年生・牧野凌大“成功体験を経て”考えて勝つ野球の中心へ【独占】

2025年11月28日

野球と学業の両立を求めて選んだ環境

牧野選手が検見川高校を選んだ理由はシンプルだった。
「野球と勉強を両立できる環境を探していた」
この言葉には、強豪校のように野球一色の生活に憧れつつも、自身の将来を見据えた冷静な視点も含まれている。実際に現在も勉強はテスト期間を中心に取り組んでおり、部活動と学業のバランスを意識した生活を送っている。

牧野選手は小学校5年生で幕張ヒーローズに所属し、中学では千葉市立幕張本郷中学校へ進学。千葉マリーンズNeo（千葉市選抜）としてプレー経験を積み、検見川高校に入学した。

身長171cm、体重60kg。左投左打。主に外野手として出場しているが出場機会を増やすためファーストも守る。また、1年生ながら4番や2番を任されるチームの中心選手となっている。本人は「もっと体重を増やしたい」と話すが、ウエイトUPに苦戦している。体づくりの面では、今後の課題が明確だ。だが、技術面ではすでに片鱗を見せている。特に打撃は1年生としては高いセンスを誇り、波はありながらも最近は理想のスイングを掴みかけているという。
「打てている時と打てていない時の違いを比較できるようになった。理想の形が分かってきて、打率も安定してきた」
と語る姿からは、1年生とは思えない分析力と冷静さを感じる。

“壁のないチーム”選手主体の検見川スタイル

検見川高校野球部が目指す姿は、“大人なチーム”だ。
酒井監督が目指すのは、「選手たちが考え、頭を使って試合を運ぶチーム」。その空気は1年生の牧野選手にも根付いている。

「選手同士で考えを共有できる。選手間で壁がなくて、指導者を介さずに話し合うことが多い」
牧野選手がそう語るように、このチームでは指導者が“答え”を与えるのではなく、選手たち自身が状況を整理し、解決策を考えていく。

下級生が意見を出すのは簡単ではないところだが、牧野選手はチームを成長させるべく考えをもっと共有していきたいという。

選手主体で動くチームは、試合を通して個々の判断力が鍛えられる。
検見川高校の野球は、年間150試合もの試合経験を経て、選手一人一人が“頭を使う野球”を身につけていくことにより、日々成長している。

武器は打撃、課題は守備。

牧野選手に自身のプレースタイルについて質問をした際、現状を包み隠さず語ってくれた。
「まずは課題は守備です。自分は走力もあまりないので走塁も課題です。外野は失点に直結するポジションなので打球判断やスローイングを磨いていきたい」
1年生ながら強豪校との試合経験も多く、外野守備の重要性を強く自覚している。

守備で特に意識しているのは、相手打者と味方投手の情報整理だ。
「相手打者のスイング、体格、うちの投手の球種やタイプ。様々な要素から守備位置を決める」
と語るように、1球ごとに状況を読み取り、考え、次のプレーを予測している。

一方で武器となっているのが打撃だが“バッティングは水物”と言われるように調子に波ができてしまいがちだ。だからこそ彼は“理想のスイング”を追求し続けている。

“相手を撒く”強豪校との練習試合で得た成功体験

牧野選手が高校野球で最も印象に残っている試合として挙げたのが、6月にB1チームで戦った花咲徳栄戦だという。
練習試合でありながら、強豪を相手に掲げたテーマは「相手を撒く」。
これは検見川高校特有の“頭を使う野球”が色濃く反映された戦い方だ。

「攻守の切り替えを速くする、相手のミスを誘う、2死3塁をつくる、ミスは全員でカバーする。そういうチームとしての狙いを徹底して戦った」
格上相手に勝つためには、正面からぶつかるのではなく“相手に勝負をさせない” “違う土俵での戦い方”が重要となる。練習試合のBチームの試合とはいえ、全国屈指の強豪校を相手に勝利を挙げた経験は、牧野選手にとって大きな成功体験となった。

「強い相手でも、頭を使えば勝てる」
この実感こそ、検見川高校の選手が最も大切にしている価値観だ。
派手な一発よりも、数秒前のプレーの意図、数球先の読み。それらが噛み合えば、実力差を覆すことは十分に可能だと、牧野選手は身をもって理解したという。