大会2日目 花咲徳栄VS法政二

日付:2025/10/19(日)
試合会場:山日YBS球場
壮絶な打撃戦となった一戦は、花咲徳栄が0-9から驚異の粘りを見せ、最終的に10-9で法政二を下した。8回に岩井虹太郎選手の同点2ランで追いつくと、9回にはエース黒川凌大選手自らのバットで勝ち越し打。投げてはその黒川選手が176球を投げ抜き、最後までマウンドを守り切った。まさに執念でつかみ取った逆転勝利だった。
◾️投手まとめ◾️
【花咲徳栄】
黒川 凌大(先発・9回・176球・9失点):
序盤は法政二打線に捕まり9失点を喫したが、試合中盤以降は立ち直り、要所を締めた。終盤には自ら決勝打を放ち、投打でチームを勝利に導いた精神的支柱。
【法政二】
松田 早太(先発・9回・172球・10失点):
9回まで完投しながら、終盤の猛攻を止めきれなかった。序盤はテンポよく打たせて取る投球を見せたが、6回以降に粘る徳栄打線に捕まった。それでも最後まで投げ抜いた。
◾️主な活躍選手◾️
【花咲徳栄】
岩井 虹太郎(1番・遊撃手):8回に起死回生の同点2ランを放つなど、終盤の反撃をけん引。4四球を選び、相手投手へ計34球を投げさせ出塁面でも貢献した。
市村 心(9番・左翼手):6回にレフトへ2点タイムリーツーベース、8回の適時二塁打で3点の活躍。下位打線からの反撃口火を切った。
本田 新志(6番・一塁手):7回に右越え2ランを放ち反撃ムードを一気に高めた。この一発で試合の流れを変えた。
【法政二】
榑松 正悟(4番・二塁手):4回に右越え3ランを放ち、リードを広げた。4回までの猛攻の中心に立つ存在感を示した。
大江 俊太朗(3番・遊撃手):3安打を放ち計2打点。中軸として勝負強い打撃で序盤の大量リードに貢献した。
試合展開
試合は初回から法政二が主導権を握った。
1回裏、二死、二三塁から柴田選手のレフト前タイムリーヒットで先制。続く鈴木選手のライト前へ運びと相手の送球ミスも重なり、この回2点を奪った。
法政二は3回にも大江選手の適時打で追加点、さらに4回には榑松選手の右越えスリーランが飛び出し、スコアは0-8に。5回には松田選手の右前適時打で9-0とし、試合は一方的な展開に思われた。
しかし、ここから花咲徳栄の反撃が始まる。
6回、笹﨑選手・佐伯選手の連続出塁から、奧野選手の中前打で2点を返す。続く市村選手が左中間を破る2点適時二塁打を放ち、一挙4点。ようやく徳栄らしい攻撃が形になった。
7回には本田選手が右越え2ランを放ち、スコアは6-9。大量ビハインドをじわじわと詰め寄る展開に。
そしてドラマは8回表に待っていた。
先頭・黒川選手が左二塁打で出塁すると、市村選手がセンターオーバーの適時二塁打で7-9。さらに岩井選手が12球粘った末に左越えへの2ラン本塁打を放ち、ついに同点に追いつく。
「絶対に諦めない」―その姿勢がスタンド全体を沸かせた。
勢いそのままに9回、谷口選手の左二塁打から再び黒川選手が左前へ勝ち越し打。エースの一打でついに10-9と逆転に成功した。
最終回のマウンドにも黒川選手が上がり、疲労の色を見せながらも力のこもった直球で三者凡退に抑える。
試合時間2時間53分、176球を投げ抜いた右腕が、最後の打者を空振り三振に仕留めると、ベンチとスタンドが一体となって歓喜に包まれた。
⚾️試合のポイント⚾️
⚾️0-9からの逆転劇:6回以降に10点を奪った花咲徳栄の攻撃力は圧巻。下位打線からチャンスを作り、上位で仕留める形が徹底されていた。
⚾️黒川選手の完投:被安打・失点を許しながらも投げ切る姿勢がチームを支えた。投打にわたりヒーローとなった。
⚾️岩井選手の粘り:8回の打席では12球粘ってからの同点弾。チーム全体に「まだいける」と火をつけた一打だった。
【花咲徳栄高校 】底力を見せた逆転勝利
序盤の大量失点にも屈せず、6回以降に怒涛の反撃を見せた。下位打線から上位へとつながる理想的な攻撃で、チーム全体の粘りと集中力が光った。本田選手や岩井選手の一発が流れを呼び込み、黒川選手の完投が守備と打線を支えた。諦めない姿勢と精神力の強さが際立ち、逆境での勝利はチームの底力を示す内容となった。終盤に見せた攻守の連動は、今後の大会でも大きな武器となるだろう。
【法政二高校 】強打線が示した高い完成度
序盤から積極的な打撃で9点を奪う攻撃力を発揮し、チームの潜在力を見せた。榑松選手や大江選手を中心とした打線は圧巻で、守備でも中盤までは安定感を保った。しかし、6回以降にリズムを失ったことで流れを渡してしまい、惜しくも勝利を逃した。投手・松田選手の奮闘や攻守の粘りは評価でき、今後の大会で課題を修正すれば更なる成長が期待される。敗戦の中にも手応えを感じさせる戦いぶりだった。
【まとめ】秋季関東大会・劇的逆転劇
0-9からの驚異的な逆転で花咲徳栄高校が勝利を収めた一戦は、両校の持ち味が色濃く出た試合となった。法政二高校は序盤から強力打線を見せ、榑松選手や大江選手を中心に9点を先制。中盤まで試合を支配したが、6回以降にリズムを失い流れを渡す形となった。一方の花咲徳栄高校は、下位打線から上位打線へつなぐ粘りと集中力で徐々に点差を縮め、岩井選手の同点本塁打や本田選手の適時打で逆転を果たした。黒川選手の完投と精神力の強さが勝利を後押しし、試合を通じて諦めない姿勢が印象的だった。両校が全力を尽くした、秋の大会にふさわしい劇的な試合であった。


