グラウンドに整然と選手たちが並ぶ。白線はまっすぐに引かれ、野球用具は所定の位置に収まっている。
2025年の上尾市民球場杯高等学校野球大会でも活躍した松村芯太選手。
過去は加須シニアにて主将を務め投手として活躍した。中学時代は台南巨人国際野球大会北関東選抜にも選出された経験もあり、上尾高校では投手、野手としてマルチに活躍する選手だ。
上尾高校野球部の指導方針は
「人としての成長」「社会に出て通用する人間になること」
彼の課題は、野球のプレー以上に、その“向き合い方”にあるという。
今回は松村選手に話を伺った。

あの瞬間に心を奪われた——上尾高校に進んだ理由
中学卒業後の進路に悩んでいた時期。
どこで野球を続けるのか…自分の進路を考えていた最中で出会ったのが、上尾高校の野球だった。
グラウンドに足を運び、目にしたのは一人ひとりの熱量だった。声の出し方、ボール回しのスピード、プレーの無駄のない動き。
全員が一つになっている上尾高校の野球に惹かれ、心を奪われた。
上尾高校で野球をやりたい。その決断は、同時に自分自身を変えるための第一歩でもあった。
どこでも守り、試合を締める——現在の役割とプレースタイル
松村選手は、一つのポジションに縛られずマルチに自身の役割をこなす器用な選手だ。
投手としてマウンドに立ち、時にはサードやファーストとして鋭い打球に反応し確実にアウトを積み重ねる。
どのポジションでもしっかりと役割を理解しプレーできる。その柔軟性こそが、彼の強みである。
また日頃、練習や試合で意識しているのは、一生懸命全力でプレーすることだという。
例えば一塁への駆け抜け一つにしても、ベースを通過するまで最後まで全力で走り抜くこと。上尾高校に入学し今まで以上に一つ一つのプレーの重みを理解しているという。
野球と生活は繋がっている——変化を生んだ日常の積み重ね
松村選手に自身のことについて話を聞くと、
「自分には、いい加減な部分がある」と振り返る。
だが、上尾高校での日々は、その意識を大きく変えた。
監督から繰り返し伝えられるのは、「整理整頓の大切さ」「人としての在り方」「社会に出たときに必要な基本」だ。
最初は、野球と関係のないことのように感じていたが、次第に野球も生活と繋がっていることに気付いてきたという。
生活の乱れは、プレーに現れたり、準備の甘さは、一球の判断に影響する。
要するに、日常を整えれば、プレーも整ってくるということだ。
道具を揃えること・時間を守ること・周囲に気を配ること。そのすべてが、野球や引退後の将来に繋がっていく。
高校野球は単なる部活動だけではなく「人としてどうあるべきかを学べる場」となっている。
上尾高校野球部の教育の素晴らしさに触れて(取材後記)
上尾高校は野球の技術だけではなく「人としての成長」を大切にするチームだ。
松村選手の人としての変化(成長)は、その結果である。
かつての自分を受け止め、日常から見直し、一つひとつを積み重ねていく。日頃、指導者の方々からの助言や環境の中で気づき成長してきた。
高校野球は、勝敗だけではなく、各選手たちと指導者がどのように向き合い、各選手がどのように変わっていくのか。
この夏、彼が見せる一つひとつのプレーは、これまでの集大成となる。
その先に広がる彼の未来は、きっと今よりもさらに大きく、力強いものになっていくはずだ。

