【特集】〜展望:あなたは予想できますか?〜2025年夏、頂点をかけた戦い。強豪と新鋭が交差する準々決勝への道

第107回全国高等学校野球選手権大会は、8月5日に開幕。

地方大会前から注目されていた強豪に加え、新鋭校が地方大会で旋風を巻き起こし初出場を手にしてきた。トーナメント表や各校の地方大会の結果に基づいた、準々決勝までの展望が以下となる。

目次

ブロック①:春の覇者横浜が頭一つ抜ける。実力校から初出場校が激突

横浜は春センバツの王者。投手陣の制球力とゲームメイク力が安定し、阿部主将がチームを引っ張る。夏出場26回目を誇る広陵(広島)や敦賀気比(福井)などが激突する。

“史上2度目”の快挙へ。完成度高き横浜の布陣

優勝候補の筆頭に推す声が圧倒的に多いのは、横浜(神奈川)だ。既にセンバツ、神宮大会の優勝により「三冠」も視野に入っている。

投手陣は、左のエース・奥村選手(3年)、最速152キロの織田選手(2年)を中心に、複数の継投オプションを持つ。二刀流の小野選手(2年)も控え、投手層の厚さは群を抜く。打線は3番・主将の阿部選手(3年)が軸。ここぞの場面での一打や守備でのリーダーシップなど、攻守にわたり抜群の存在感を放つ。

神奈川大会では準々決勝以降、全ての試合で逆転勝ち。特に決勝・東海大相模戦での11-3の快勝は、チームの地力を示すものだった。組織的な継投策、選手の適材適所の起用法、そしてどんな展開でも慌てないメンタルの強さ。あらゆる面でスキのない「完成度の高いチーム」である。

また、叡明(埼玉)と綾羽(滋賀)は甲子園初出場。

強豪校ひしめくブロックだが、低反発バットに移行後、繋ぐ野球が重視されるようになった。上位から下位までの全員野球で強豪校相手に旋風を起こせるか。

ブロック②:智辨和歌山と花巻東が初戦で対決。初出場・聖隷クリストファーにも期待。

センバツ準優勝の智弁和歌山(和歌山)も、再びの頂点を狙う。過去には夏3度の全国制覇を誇る名門だが、昨春の決勝では横浜に屈した。その悔しさを胸に挑む今大会。

チームを支えるのは、投手の2枚看板。エース・渡邉選手(3年)は抜群の制球力を持ち、最速152キロの宮口選手(3年)は力強い直球で打者を押し込む。捕手・山田凛虎選手(2年)は的確なリードと強肩で支え、主将・山田希翔選手(3年)は選手宣誓の大役も担う精神的支柱。

1回戦は岩手の名門・花巻東(岩手)との対戦。スラッガー古城選手(2年)を中心とした強打を封じられるかがポイントになる。ここを乗り越えれば、勢いに乗った智辨和歌山が再び決勝の舞台に立つシナリオも十分あり得る。

関西からは近畿大会連覇の東洋大姫路(兵庫)。

東洋大姫路(兵庫)は名将・岡田龍生監督のもと打率4割に迫る強力打線は、どこからでも得点できる破壊力を誇る。エース・木下選手を軸に快進撃を続けており、故障明けの右腕・阪下選手(3年)が復調すれば、さらに厚みを増す。

また大会5日目初出場・聖隷クリストファー(静岡)と明秀日立(茨城)の新興校同士の戦いも注目だ。

ブロック③:最多出場を誇る北海、公立校の佐賀北、市立船橋に注目が集まる。

最多出場を誇る北海(南北海道)は投手を中心とした野球が持ち味。2007年に佐賀北旋風を起こした佐賀北に当時の主将・本村が監督として帰ってきている。市立船橋(千葉)は中央学院、など激戦の千葉を勝ち抜いてきた。

名門明豊(大分)と初戦で激突するが両校とも全員野球で勝ち抜いてきたチームカラー。接戦を制することができるか注目となる。

日大山形(山形)のエース小林選手は今春センバツで浦和実・石戸選手が旋風を見せたように130km/hのストレートと80キロ台のスローカーブで打ち取れるかが鍵。

ブロック④:20回目の出場の日大三、3回目の出場、高川学園。初出場・未来富山、豊橋中央に注目

強豪校・日大三高(西東京)や初出場、新興校が交じるブロック。

富山未来(富山)のエース江藤選手のピッチングや勝負強い日大三の打線がを高川学園(山口)、豊橋中央(愛知)がどのように攻略していくか。

このブロックでは「名門 vs 挑戦者」の構図が色濃く、甲子園ならではのドラマが生まれそうだ。

ブロック⑤:38回の出場を誇る松商学園、常連校、聖光学院と山梨学院が対決

山梨学院(山梨)は打・投・守の総合力があり強豪相手でも粘りと長打力兼備、菰田選手・足立選手・檜垣選手の安定した投手力を誇る。対する聖光学院(福島)は福島大会、5試合中4試合で逆転勝ち。経験、機動力や堅守が武器。打線で山梨投手陣にどう挑むか。
岡山学芸館(岡山)は切れ目のない打線が特徴だ。犠打も多用し接戦をものにしてきた松商学園との対戦では主軸・繁光選手らが鍵となる。対する松商学園(長野)は長野大会7試合で守備無失策で勝ち進んできた。接戦での粘りに注目だ。

聖光学院と山梨学院が中心となる強豪ブロック。岡山学芸館と松商学園の勝者も加わる中、山梨学院が頭ひとつ抜けた存在との評価も多く見られる。

ブロック⑥:健大高崎、京都国際が初戦から激突

今春優勝校・横浜を倒す可能性を最も持つのは、優勝候補の健大高崎(群馬)だ。昨秋、今春ともに横浜に敗れているものの、いずれも接戦。横浜以外の相手には確実に勝利してきた実績がある。

特筆すべきは投手力の厚さ。最速158キロの右腕・石垣元気選手(3年)、左の技巧派・下重選手(3年)、トミー・ジョン手術から復活を遂げた左腕・佐藤選手(3年)と、タイプの異なる3本柱がそろう。これは大会随一と言っていいだろう。守備力も高く、2年生の石田選手のスピード感ある守備と走塁もアクセントになる。

1回戦から昨夏優勝校・京都国際(京都)との激突が控えるが、ここを突破すれば一気に波に乗る可能性も。

ブロック⑦:注目の金足農・強力打線の開星、名門校も。

今回大会注目の投手、金足農・吉田投手が注目されるが、島根大会決勝で27安打26得点の記録を残した開星(島根)も注目だ。強力打線が特徴のチームで、カウントや状況に応じたミート力を備えている。追い込まれてからの対応力や、1イニングに畳みかける攻撃力は驚異的。波に乗ったときの勢いは爆発的だ。

また、沖縄尚学(沖縄)、仙台育英(宮城)、天理(奈良)などの常連校も名を連ねる。

どの高校が勝ち進んでもおかしくない激戦必至のブロックだ。

波乱か、順当か。熱戦の先にあるベスト8

今大会は実力伯仲、どのブロックにも優勝候補がひしめく一方、初出場校の勢いと個性も光る大会となっている。健大高崎、横浜、智辯和歌山といった全国区の強豪が順当に勝ち上がるのか、それとも聖隷クリストファー(静岡)、叡明(埼玉)、未来富山、豊橋中央、綾羽(滋賀)といった初出場校が旋風を巻き起こすのか──。

勝負は一球で変わり、一瞬の判断が試合を決める。初の朝夕2部制開催の灼熱の甲子園で、今年もまた“記憶に残る夏”が刻まれようとしている。

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