【滑川総合主将:関根寧広】「家庭、学校、野球」感謝の先にある最後の夏【独占】〜夏大前取材〜

夏の大会を目前に控えた滑川総合高校。

3番を任される関根 寧広(せきね やすひろ)選手は168cm66kgと小柄な選手だ。小学4年生から吉見パワースターズで野球を始め、中学時代は吉見中学校野球部に所属。西武ライオンズジュニアユースにも選出された選手だ。

2年生だった昨夏は3番ショートで出場し、歴史的な浦和学院戦をグラウンドで経験した選手である。

昨夏に全国屈指の強豪校を倒した嬉しさと、あと一歩届かなかった秋と春の悔しさも知っている。その経験値を糧とし関根選手は最後の夏に挑む。

今回は関根主将に昨夏経験した率直な気持ちと現チームの状況を伺った。

目次

浦和学院戦で知った「高校野球の怖さ」

昨夏、滑川総合は全国屈指の強豪・浦和学院を破る歴史的な勝利を挙げた。

当時2年生だった関根選手も、3番ショートとして出場しその瞬間をグラウンドで味わった一人である。

関根主将が高校野球で出場した試合の中で1番印象に残っている試合が昨夏の浦和学院戦だという。

試合は0−0で迎えた五回、ツーアウト満塁から細野選手の走者一掃となる三塁打で試合が動く。球場全体の空気が一変し、最終回には守備の声が聞こえなくなるほどの歓声が球場を包んだ。

「正直、勝てるとは思っていませんでした」

率直な言葉だった。

勝利の喜びよりも印象に残っているのは、3年生が背負っていたものだったという。

当時の自分たちは2年生。試合に出場していても、最後の夏に懸ける覚悟や、負ければ終わる重圧を本当の意味では理解できていなかった。

「3年生は、当時の自分たちには分からないプレッシャーを背負っていたと思います」

その時は見えていなかった重圧を自分たちが背負い最後の夏に挑む。

悔しさから学んだ「流れ」の怖さ

歴史的勝利の余韻は長く続かなかった。

新チームとなり、主将としてチームを引っ張っていく立場となった秋季大会では熊谷商業にタイブレークの末に敗れ、春季大会では正智深谷に敗戦した。

熊谷商業に敗れた秋季大会は打撃力の差を痛感した。

「投手が5点以内に抑えられれば、打線で5点以上取って勝てる」

その目標を掲げ、冬は徹底してバットを振り込んだ。

迎えた春季大会。正智深谷とは五回まで互角に渡り合ったが、一つのフィルダースチョイスから試合の流れは一気に相手へ傾いた。

高校野球は、一つのプレーで試合が変わる。

昨夏、浦和学院戦で自分たちに流れが来たように、春は相手へ流れを渡してしまった。

だからこそ関根選手は、この夏に向けて「打ち負けないこと」「接戦へ持ち込むこと」を強く意識するようになった。

自身の最大の武器は守備だという。打球が多く飛んでくるポジションを守り、最少失点で試合を作ることを意識している。

一方で打撃には課題を口にする。ボールを迎えに行ってしまい崩されることがあったという。自身の課題に対し引きつけて逆方向へ打つ意識を持ちながら、自分の打撃を見つめ直してきた。課題から目を背けない姿勢もまた、昨年から学んだ財産だった。

感謝を力に変え、最後の夏へ

関根選手が滑川総合を選んだ理由は、野球を続けられる環境があること。将来体育教師になりたいという夢があり健康スポーツ科で学びたかったからだ。

自宅からバスと電車を乗り継ぎ、およそ40分かけて通学する。

毎日当たり前のように野球を続けているが、その当たり前は、多くの人に支えられていることを高校生活で知った。

顧問の先生方より「①家庭 ②学校 ③野球」と学んだという

① 家庭があるから食事を作ってくれる洗濯をしてくれる人がいる。

② 学校での勉強や生活をしっかり送ること。

③ ①・②があるからこそ、高校野球ができる

野球だけを見ていた中学生の頃には気づかなかった考えだった。

チームとして身体づくりにも妥協はない。毎日の積み重ねが最後の夏につながる。

空腹の時間を作らないよう、マネージャーが準備してくれるおにぎりやプロテインをこまめに摂りながら身体をつくっている。

今年の滑川総合は、昨年のように突出した選手が並ぶチームではないからこそ、関根選手は「全員で勝つ」ことに強くこだわり、一人ひとりが役割を果たしながらチーム力で勝ち上がる野球を目指している。

目標に掲げるのはベスト8。個人の力ではなく、全員が日々の積み重ねを一つの力へと変え、公立高校らしい粘り強い野球で夏を勝ち抜こうとしている。

昨夏、浦和学院戦で経験した歴史的勝利は、関根選手に「強豪にも勝てる」という自信だけを残したわけではなく、支えてくれる人への感謝を忘れず、自分にできることを積み重ねること。

最後の夏。同ブロックには強豪校が勢揃いだが臆することはない。

関根主将が率いる滑川総合ナインは日頃の感謝を力に変えていく。

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