決勝 結果は智弁和歌山4ー11横浜

注目の一戦となった横浜と智弁和歌山の一戦は、横浜が投打にわたって主導権を握り、4対11で優勝を収めた。試合は2時間8分の熱戦となったが、序盤から横浜が流れを握り、中盤6回に一気に勝負を決めた。
智弁和歌山は最後に粘りを見せるも及ばず。
投手まとめ
【智辯和歌山】
渡辺 颯人:5回⅔ 96球 8失点:初回から粘りのピッチングを見せたが、6回に集中打許す
中井 貴、宮口 龍斗、若井 翔路、田中 息吹:リリーフ陣も流れを止められず、横浜の勢いを止めるには至らなかった
【横浜】
織田 翔希:5回⅓ 65球 1失点。テンポの良い投球で試合を作った
片山 大輔:ワンポイントで登板し、1球で三振を奪取した
奥村 頼人:攻守での活躍が光った。球威は申し分ないが甘く入った場面で智辯打線にやや捉えられた
江坂 佳史:ピンチで登板するも智辯和歌山打線に捉えられ流れを止められず
山脇 悠陽:最終回ピンチを招くも要所を締めセンバツ優勝を決めた
主な活躍選手
【智辯和歌山】
福元 悠真:8回表に意地の2点タイムリー三塁打を放った。打球の強さ、勝負強さが光った
渡辺 颯人:先発として5回まで横浜打線を粘り強く抑え健闘した。6回に捉まったがそれまでは両チーム互角の戦いだった
【横浜】
阿部 葉太:3安打4打点の活躍でチームを牽引。3回には勝ち越しの2点適時打を放ち、6回にも追加点を演出
奥村 頼人:2安打1打点に加え、投手としても好救援。投打で存在感を見せた
為永 皓(2番):3安打2打点。試合を通して出塁とチャンスメイクを担った
決勝「試合展開」主導権を渡さなかった横浜 継投と集中打で智弁和歌山を圧倒
横浜が全てにおいて上回る内容で、名門・智弁和歌山を11対4で下した。序盤から主導権を握り、投手リレーと好守、そして勝負どころでの集中打が光った。
先発の織田翔希は、丁寧に低めを突き、打たせて取るピッチングで試合を組み立てた。リードを許さないまま5回1/3を1失点。中盤以降は、試合の展開を読みながら奥村、江坂、山脇ら多彩な継投で相手の勢いを封じた。特に、6回のピンチをワンポイント片山が1球で三振に仕留める場面は、采配と実行力の結晶だった。
攻撃面では、勝負強さが際立った。特に3回と6回、チャンスを確実に得点へとつなげた打線の集中力は見事。阿部葉太の2点二塁打で勝ち越した3回、そしてミスに乗じて一気に流れを引き寄せた6回のビッグイニングは、試合を決定づける内容だった。
対する智弁和歌山は、2回にスクイズで一時同点に追いつくなど粘りを見せたが、守備の乱れと継投の遅れが響いた。特に6回、2死からのエラーと暴投が致命傷となり、一挙6失点。投手陣も横浜打線の勢いを止められなかった。
また、智弁和歌山打線も、好機は作るもののあと一本が出ず。
この試合、横浜が攻守に渡り「隙のない野球」を体現し試合の流れを手放すことなく、全国屈指の強豪を相手に堂々の勝利を収めた。
⭐️最後まで諦めずに食らいついた智弁和歌山──意地の反撃を見せた選抜決勝戦
第97回選抜高校野球決勝で、智弁和歌山は横浜高校を相手に粘り強い戦いを見せた。試合は序盤から横浜にリードを許す展開となったが、最後まで諦めず反撃の意志を貫いたその姿は、多くのファンの胸を打った。
初回は三者凡退に抑えられたものの、2回表、福元聖矢の右前打を起点にチャンスを広げ、7番大谷魁亜のスクイズで同点に追いついた。速攻で仕掛ける攻撃スタイルは、王者・横浜に一歩も引かぬ姿勢を示した。

智弁和歌山 先発の渡辺颯人は6回途中まで96球を投げ抜いた。力強い直球と低めへの制球を武器に、序盤こそ打たれたものの、4回と5回はテンポよく3者凡退に抑えるなど試合を壊さない粘投を見せた。渡辺 颯人:5回2/3、96球、被安打10、失点8(自責8)
大量失点を喫した6回は、エラー絡みや不運な当たりもあったが、その他のイニングでは要所での併殺や三振でチームを救った場面も多くチーム力の高さを印象付けた。
最後に見せた“智弁の野球”
点差は開いたが、9回までしっかり攻め切り、敗色濃厚な中でも意地を見せ、スタンドから大きな拍手が送られた。
試合時間2時間8分を全力で走り抜いた智弁和歌山。ベンチもグラウンドも常に声を切らさず、チーム一丸で強豪・横浜に立ち向かった姿は、記録以上に価値のある“高校野球らしさ”を体現していた。
⚾️その他ポイント
⚾️横浜の多彩な投手リレー:織田に続き、外野手奥村を含む5投手が継投。柔軟な投手起用が試合を優位に進める鍵となった。
⚾️智弁和歌山、あと一本出ず:再三得点圏に走者を進めるも、6回の三振や併殺打などで流れをつかめなかった。
⚾️守備のミスが明暗:智弁和歌山は3回、6回に送球ミスや後逸が絡み失点。横浜は堅実な守備と好走塁で加点を重ねた。

大会総評:攻守の完成度が問われた2025年センバツ~好投手の台頭と“総合力”の時代~
今第97回選抜高校野球大会(2025年)は、技術の進化とチーム力の成熟が随所に表れた大会となった。優勝を果たした**横浜(神奈川)**を筆頭に、全国の強豪がしのぎを削る中、いくつもの印象的な戦いが繰り広げられた。
◾️◾️横浜、5度目の優勝で名門復活を印象づける◾️◾️
今大会を制したのは、神奈川の名門・横浜。初戦から打線の爆発力と織田・奥村のWエースを擁し、文句なしの優勝だった。
◾️◾️投手力重視の傾向が色濃く エースの好投が勝敗を分ける◾️◾️
近年のセンバツ同様、「好投手」の存在が勝敗を大きく左右した。
今大会でも、速球派の最速158km/hを記録する石垣 元気(健大高崎)、最速152km/hの速球とスライダーを武器にする宮口 龍斗(智弁和歌山)
総合力の高い織田 翔希(横浜)、奥村 頼人(横浜)
本大会印象に残ったのは春夏通じて初出場の浦和実業高校のエース左腕・石戸颯汰だ。
足を高く上げ一度身体を沈めてから投げる独特なフォームから放たれる平均125km/h程度のストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップなどを織り交ぜ、打者のタイミングを巧みに外し全国の強豪校相手に堂々のピッチングを披露しベスト4の立役者となった。
一方で、一人に頼る戦い方のリスクも浮き彫りになった。複数投手制や継投の重要性が増す中で、継投の失敗や制球難から崩れたチームも少なくなかった。特に準々決勝以降は、終盤の継投ミスや守備の乱れが試合を左右する場面が目立った。
◾️◾️打撃力は“対応力”が鍵に 飛び抜けた打者より“繋ぐ意識”◾️◾️
豪快な一発が目立ったわけではない今大会。
低反発バットが導入された2024年以降、ランナーをどう得点に繋げるか、対応力の高い打線が上位進出の条件となった。状況に応じたバッティングができるチームは、少ないチャンスを確実にものにし勝ち上がってきた。
打率よりも得点効率、長打よりも繋がり。この流れは、今後の高校野球においてさらに加速する可能性がある。
◾️◾️地方勢の健闘と課題 バランスと総合力が勝利の鍵◾️◾️
今大会も地方校の躍進はあったものの、上位に残ったのは近畿・関東を中心とした強豪校が多数。一方で、地方校も個の力では引けを取らない場面も多く、戦術や経験の差を埋めるための「試合巧者ぶり」が今後の鍵となるだろう。
◾️◾️細部の完成度と戦術の成熟が勝敗を分けた大会◾️◾️
2025年のセンバツは、「チーム力」「戦術」「守備・継投の完成度」といった“総合力”が勝敗を分けた大会だった。飛び抜けた個の力よりも、全体でミスを減らし、試合をマネジメントできるかどうか。横浜の優勝は、まさにその象徴だった。
この春の経験を糧に、各校がどう夏へ成長してくるか。甲子園の暑い夏が、今から楽しみでならない。
