3日目第1試合 叡明VS津田学園

日付:2025年8月7日(木) 午後の部 第1試合
試合会場:阪神甲子園球場
叡明・田口遼平、津田学園・桑山晄太朗。両校の右腕の名前は、この夏全国の高校野球ファンに刻まれた。延長12回タイブレーク。
2人は一歩も譲らぬ投げ合いでスコアは刻一刻と動きながらも、最後まで試合を支配したのはマウンド上の両エースだった。決着は12回裏タイブレーク5-4で津田学園がサヨナラ勝ちを収めた。
◾️投手まとめ◾️
【叡明】
増渕 隼人(8番・投手):先発 2回、38球、1失点。2イニングで5安打を浴びるも粘りの投球で最小失点で田口選手へ繋いだ。
田口 遼平:3回から延長12回125球、四死球0の安定した投球を見せた。球速表示以上に勢いのある直球とスライダーのコンビネーションで低めへの制球でゴロアウトを量産し、要所で外角直球を決めて打者を封じた。
【津田学園】
桑山 晄太朗:先発で12回138球、奪三振9。力強いストレートに加え、カットや大きく曲がるスライダーが光った。試合後半でも球速を落とさず走者を背負っても要所を締めるピッチングを見せた。
◾️主な活躍選手◾️
【叡明】
田口 遼平(3番・遊撃→投手):3回からマウンドに上がり要所を締める投球で中盤以降相手打線を抑え込んだ。4回にはレフト前、5回にはレフト犠牲フライ、11回には自ら勝ち越し打を放ち、投打でチームを牽引したが、最後は力尽きた。

高野 歩(6番・三塁):2打席目でライト前にタイムリーを放ち叡明高校、甲子園での記念すべき初打点をあげた。
【津田学園】
正木 瑛真(7番・右翼):3回にスクイズを決め、11回裏にも同点打を放った。厳しい場面での集中力が光った。
伊藤 璃空(6番・投手):3回にはセンター前、投げては12回完投勝利。9安打を浴びながらも奪三振9、四球わずか2と試合を作った。
試合展開
初回、津田学園は叡明・増渕選手の立ち上がりを攻める。
2番石井選手がセンター前、続く田北選手がライト前にヒットを放つ。5番・犬飼選手のファーストゴロがイレギュラーとなり、1点を先制する。1−0
3回裏には叡明・先発の増渕選手から田口選手に継投。5番・犬飼選手、6番・桑山選手の連打の後、7番・正木選手のスクイズで2−0とする。
4回表、叡明が反撃をする。3番・田口選手がレフト前ヒットや4番・赤城選手の四球でチャンスを作り、6番・高野選手がライト前にタイムリーヒットを放ち2−1とする。
その裏、津田学園は1番・田中選手のセンター前、2番・石井選手の送りバント、3番・田北選手のセンター前タイムリーで3−1とし再び2点差とする。
5回表、叡明は埼玉大会から好調を維持している8番・細沼選手のレフト前ヒット、9番・本間選手の送りバントで一死、二塁とする。続く1番・根本選手の左中間真っ二つのタイムリーツーベースを放ち3−2とする。
その後、ランナーを3塁に進め、3番・田口選手がレフトへの犠牲フライで同点とする。3−3
以降は投手戦となり、延長タイブレークに突入。
タイブレークに入った11回表、3番・田口選手が自ら低めの変化球を捉え、右前へ勝ち越し打。ベンチは総立ちとなった。
しかしその裏、6番・桑山選手が打席でセカンドゴロを放ち2塁ランナーを3塁に進める。続く7番・正木選手がショートゴロを放つも叡明はゲッツーを取りきれず土壇場で同点となる。球場全体が張り詰めた空気に包まれた。
12回表、叡明の攻撃は送りバント失敗とゲッツーで三者凡退となる。
12回裏の津田学園の攻撃、9番・伊藤選手は送りバントを試み、3塁側に転がった打球をピッチャー・田口選手が処理。一瞬、3塁を確認し、1塁へ送球するも、送球が高く逸れ、二塁走者がそのままホームへ滑り込み津田学園のサヨナラ勝利。

両腕の魂の投げ合いは、思わぬ幕切れで終わった。
⚾️試合のポイント⚾️
⚾️ 両エースが延長12回まで全力で投げ合った、今大会屈指の熱戦となった。
⚾️ 叡明・田口選手の勝ち越し打と、その裏の同点劇が試合を大きく動かした。
⚾️ 津田学園・桑山選手は球速・制球ともに終盤まで維持、ランナーを背負うたびギアを上げた。
⚾️ タイブレークでの守備、送りバントの精度が勝敗を左右した。
【叡明】田口の孤軍奮闘も、あと一歩及ばず
田口選手が投打で躍動し、勝利を手繰り寄せる場面を何度も作った。最後の最後で守備のミス。悔しさは大きいが、全員野球でもぎ取った4点は胸を張れる内容だった。
【津田学園】桑山の執念がチームを救った
桑山選手の12回138球、球威も気迫も衰えず、要所で強気に攻める投球が光った。サヨナラ劇の直前も淡々と投げ、送りバントをさせず、ゲッツーで仕留め流れを渡さなかった。
【まとめ】エース同士の死闘はドラマチックな結末に
両チームの実力はほぼ互角で、送りバントの精度や勝負所で併殺が取れるかピンチを凌いだ後のチャンスをものにできるかが勝敗を分けた。
両チームのエースが織り成した延長12回の攻防は、まさに意地と意地のぶつかり合いだった。初出場・叡明高校の全員野球や田口選手の力投。津田学園の堅守は全国の高校野球ファンの心に響いた。